人も企業も、
ワクワクこそが原動力です

株式会社FTG Company
取締役副社長/COO
純峯様

1980年生まれ。大学卒業後、整体師を経て双子の兄である李純哲(株式会社FTG Company代表取締役社長)が当時務めていた大手焼肉チェーンに入社。新規店舗の立ち上げやマネジメントを経験し、30歳で独立。兄と株式会社ふたご(現FTG Company)を設立し「大阪焼肉・ホルモン ふたご」をオープンする。アメリカ法人であるFTG USA INC.では、代表取締役を務める。

大切なのは、目の前の仕事に夢中になれるかどうかですた

株式会社FTG Companyの代表取締役社長である李純哲と私は双子の兄弟です。実家は小さな焼肉屋を営んでいましたが、決して裕福な家庭ではありませんでした。そんな私たちふたりの夢は「親に楽をさせてあげる」こと。それが叶うのなら、仕事はなんでも良かったというのが本音です。焼肉屋を選んだのも、大手焼肉チェーンで働いていた兄から「一緒に働かないか?」と誘われたからで、焼肉に特別な思い入れがあったわけではありません。「ほかの料理に比べると調理も楽だし、ウチの母親でもやっていけるくらいだから独立も簡単だろう」と考えていた程度です(笑)。

仕事選びなんて、それくらいの感覚でいいと思います。よく「自分の天職は?」と悩む人がいますが、そんなの考えるだけ時間のムダ。世の中には、今の仕事を天職だと思って取り組んでいる人と、そうでない人がいるだけです。「これこそが自分のやるべき仕事だ」と信念をもって本気で打ち込めさえすれば、どんな仕事だって天職になります。

私たちも転職後は全力で働きました。兄は20代の若さで子会社の経営を任され、私も新規店舗の立ち上げや、赤字店舗の立て直しをいくつも手がけたものです。「兄とともに30歳で独立する」という明確な目標があったからですが、働いている間は「独立」の二文字は意識せず、目の前の仕事に無我夢中で取り組みました。

独立したいのなら、その瞬間瞬間に最大限のパフォーマンスを発揮することを心がけてみてください。そうすれば力は自ずとついてきます。きっと独立への近道になると思いますよ。

株式会社FTG Company インタビュー風景

目標は「親孝行」から「従業員の永続的な幸せ」へ

目標通り30歳で独立し、五反田に「大阪焼肉・ホルモン ふたご」をオープンし、翌年には中目黒に2店舗目、3店舗目を出店します。実はこの段階で、当初の目標であった「親孝行」はほとんど達成できました。そこで次なる目標として定めたのが世界進出です。

新たに「焼肉文化を世界に」というビジョンを掲げ、社名も株式会社FTG Companyに改めました。台湾の大安に初の海外店舗をオープンしたのが2013年です。その後もハワイや中国へと進出し、2015年にはついにニューヨークのマンハッタンに店を構えます。ニューヨークは本当に刺激的で、現地の食文化にも大いにインスパイアされました。そこから生まれたのが、サラダ専門店「GREEN BROTHERS」です。

親孝行も達成した。海外進出を成し遂げ、新ブランドも生まれた。次は一体どこを目指そう? その答えを得るのに、1年以上かかりました。自分たちはなぜ会社を作って店舗を展開しているのか。会社の「存続」意義ではなく、「存在」意義を、イチから考え直す必要があったからです。そのなかで見えてきたのは「社員ひとりひとりが目標に向かい、自信をもってより良く生きていくための手助けができる会社でありたい」という思いです。では、より良く生きるとは何なのか。そもそも人はなぜ生きるのか。次第に、哲学的とも言える問いが芽生えてきました。

人は誰しも、仕事をするためではなく、自分なりの幸せを手にするために生まれてきたはずです。けれども多くの人は、「あれが欲しい、これが欲しい」という欲が次々と湧いてくるため、決して心を満たせません。だったら、どうすればいいのでしょう。私たちは、人から感謝されたり、人から頼られたり、人の役に立つことではじめて、永続的な幸せが得られると考えました。他者を満たすことで、自分が満たされる。私たち経営者という立場であれば、まずは社員を幸せにすること。これこそが本当の幸せです。

こうした思考プロセスを経て綿密に練り上げていったのが、「人が持つ可能性を信じ、人々を幸せにする」という経営理念です。理念を補強するために「“ワクワク”する人を創り、“ワクワク”する会社を創る」というビジョンも定めました。「ワクワク」こそ、幸せな人生を歩む上で最も大切なことです。多くの人は、会社や学校で「あれをしてはいけない。これをしてはいけない」と押さえつけられるうちに、幸せとは何かを忘れてしまいます。それをもう一度思い出すには「ワクワク」を指針にするのがベスト。ワクワクの追求こそ、幸せの追求にほかなりません。

株式会社FTG Company インタビュー風景

脳科学と心理学にもとづいた自己実現メソッドが成長の秘訣です

ワクワクを追求できる社員を育てることは、お客様に喜んでいただけるサービスを提供することにも、企業としての成長にも直結しています。だからこそ、私たちは創業当初から人材開発に力を入れてきました。新入社員全員に研修合宿に参加してもらうのも、その一環です。

合宿ではまず「僕たちみたいな人間でも、ここまでできたんです」と発破をかけるのが常です。それに対して「成功したのは社長たちが特別だったからだ」と社員に思われると、可能性は閉ざされてしまいます。その状態で何かを無理強いしたとしても、「やらされているだけ」になってしまうからです。そうではなく「やりたくて、やりたくて、たまらない状態」になってもらわなければなりません。好きなゲームをやりたくてたまらない子どものような感覚で物事に取り組めれば、「努力」を「努力」とも思わなくなります。そうなれば、どんな大きな夢でもきっと叶うはず。こうしたマインドセットを身につけ、私たちの理念とビジョンを血肉としてもらうことが、合宿の最大の目的です。

そのために導入しているのが、脳科学、心理学をベースに開発した「HBDP(Human Brain Development Program)」という独自の自己実現メソッドです。合宿でもこのメソッドを生かして、どのようにゴールを設定すればいいのか、そこに至るにはどのようなステップを踏めばいいいのか、それに必要なものは何なのかを、徹底的に考えてもらいます。各ブランドのオペレーションを学ぶことはもちろん重要ですが、その前にまずはFTGの社員に欠かせない「心の在り方」を身につけてもらうのです。

株式会社FTG Company インタビュー風景

あらゆる領域でワクワクを追求していきます

今後は「“ワクワク”する社会を創る」ために、飲食業だけでなく、社会のあらゆる領域でワクワクする事業を立ち上げていくつもりです。具体的には、ホテル事業やAI事業、エンタメ事業への参入を視野に入れています。

事業領域を広げるだけではなく、グローバル展開もさらに推し進めたい。その理由は単純で、国内に留まる必要性がまったくないからです。私たちは、常に物事を宇宙規模で捉えています。無限大の宇宙に比べたら、地球なんて小さな惑星のひとつに過ぎません。ましてや日本なんて、そのちっぽけな星にある無数の国々のひとつです。そこにこだわる意味なんてありませんよね。

私たちのビジョンのすべてを明かすことはできませんが、イメージしているのはイギリスに本社をおく巨大コングロマリット企業、ヴァージン・グループです。レコードの通信販売からはじまった小さな会社が、今や300社以上のグループ会社を抱え、航空、鉄道、金融などあらゆる分野に進出しています。

将来的には私たちも「FTGグループって、元々は焼肉屋さんだったんだね」と言われるくらい成長したい。株式上場も視野に入れつつ、事業拡大に向けてワクワクしながら突き進んでいきます。

株式会社FTG Company インタビュー風景

FTGは飲食企業ではなく、人材開発企業です

教育分野にも乗り出したいですね。教育システムを、根幹から変えたいからです。現在の日本の教育では、人生に対するビジョンをもって社会へと巣立つ人を、なかなか育てられません。高校までは「いい大学に入ること」だけが目標であるかのように指導され、自分の将来を真剣に考えるのは就職活動が本格化してから。これでは遅すぎます。そんな短期間で、自分が心の底から挑んでみたいと思うことが見つかるはずがありません。

だからこそ私たちは、体験学習を通じて「自分が将来何をしたいのか」をじっくりと考えられる高校を運営したい。ここでは、暗記が7割、思考3割と言われる従来の「暗記型教育」ではなく、思考が7割、暗記が3割の「思考型教育」を実践するつもりです。

高校だけではなく、保育園も手がけたいですね。脳幹が形づくられると言われる3歳から5歳までの教育にコミットしたいのです。いずれにせよ、これらのプランは「“ワクワク”する人を創り、“ワクワク”する会社を創る」ためのプロセスのひとつに過ぎません。ゆくゆくは「ワクワク」を科学的に研究する「ワクワク研究所」を設立したいと考えています。

FTGグループの全メンバー、その家族やパートナー、お客様、株主様、世界中のあらゆる国の人々と、これから生まれてくる未来の子どもたち。その全員が自分の人生に生き甲斐を感じ、他者の喜びを自分の喜びとして感じられるようになってほしい。一人ひとりの奥深くに眠っている潜在意識を呼び覚まし、自分らしいワクワクした最高の人生を歩んでくれたらと思います。

これからの人生で、どれだけの人に関わり、そのうちの何人の人生をワクワクさせられるだろうか?そう考えると私自身もワクワクが止まりません。ひとりでも多くの人をワクワクさせるために、これからもすべてのエネルギーを自分たちの仕事に注いでいきます。

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