張りぼてだった理念が、
本物になった

株式会社シーラホールディングス
取締役 会長
杉本
宏之様

1977年、神奈川県生まれ。不動産会社へ勤務後、2001年に独立し株式会社エスグラントコーポレーションを設立。2005年、業界史上最年少で上場。しかしその後、2008年のリーマンショックの影響を受け、2009年に民事再生を申請。同年、株式会社SYホールディングス設立。株式会社シーラを中心として、マンション分譲、賃貸、建物管理、賃貸仲介、引越しと、ワンストップソリューションを提供。2017年12月度は売上高192億円、経常利益10億8千万円を見込む。

とにかく社員を第一に考える

人に話しても信じてもらえないようなストーリーなんですが、創業直後に事業が思うように進まなくて資金繰りが厳しくなった時期があったんです。その時起こったある事件がきっかけで、人を大切にしなきゃと考えるようになりました。それが”会社は家であり、社員は家族である。”という会社の基本理念に繋がっています。

僕が最初に創業したのがエスグラントコーポレーションという不動産会社で、創業4年で年商180億までいくのですが、最初の10ヶ月くらいは、鳴かず飛ばずで苦しかったんです。若気の至りで社長に暴言を吐いて退職し、同業からは四面楚歌、金融機関からの支援も得づらい状況になってしまっていました。不動産会社は、金融機関の支援がないと、土地も買えないし建物も建てられないので商売にならないんですよ。

信用もお金もなかったので、こうなったら他社で扱っている物件を売ろうと考えて住宅情報雑誌を見て、片っ端から「我々に売れるものないですか?」と電話をかけまくりました。ただ、相手にしてみたらわけの分からない若いお兄ちゃんから突然電話がかかってきて、胡散臭いですよね。 「いつ会社つくったんですか?」と聞かれて「昨日です」と答えたり、熱意と情熱でなんとかしようとしましたが、ガチャ切りされることが日常茶飯事でした。

物件を売らせてくれる会社が全然見つからなかったのですが、なんとか一社見つかって販売代理手数料が少し入ってくるようになったものの、赤字の状態が続きました。そして、10ヶ月目頃についに資金がショートしそうになってしまったんです。ちょうどその時ボーナスを出すタイミングで、僕としては経営者としての責任感というか、矜持のようなものがあって、色々なところからお金を借りてきて、かき集めてなけなしの資金からボーナスを出しました。その時は、これが最後のボーナスになるかもしれないと思いました。

その後、実は資金が底をつきそうな状況だということを会社のメンバーに伝えたら、みんなも会社が潰れるのは嫌だと感じてくれて、「なんでもっと早く言ってくれなかったんですか?」と議論になったりもして、結局8割くらいの社員がボーナスを返納してくれたんですよ。その時は、涙が出ましたね。 それまで、営業パーソンとしてのカリスマ性のようなもので会社を引っ張ろうとしていたのですが、そんな自分が男泣きしているのを見て、社員の中でも会社に対しての想いが変わっていったのだと思います。

そこから売上が上がり始めて、そのままずっと増収増益ラインに乗って、一気に4年で180億までいきました。

この事件をきっかけに、とにかく社員を第一に考えたいと思うようになりました。言うべきことは、厳しくしっかりと伝えていますが、愛情を持って伝えるようにしています。愛情を込めれば、その意図を社員が汲んでくれるし、人情の機微を重視するようにしています。

株式会社シーラホールディングス インタビュー風景

経営理念が本物になった瞬間

職人のような強いこだわりを持ってマンションをつくって、その良さをちゃんとお客様にも伝えたいと思っています。なので、理念や行動指針も含めて、自分たちのものづくりに対しての姿勢を積極的にお客様にも伝えてほしいと社員には言っています。
実際、そのためのコンテンツとして動画やパンフレットも用意しているのですが、伝えたいことが多すぎて、パンフレットはとても分厚いものになっています。竣工検査や36年のアフターメンテナンス計画など、直接目には見えにくいものにもこだわっているので、そういう部分もしっかり伝えていきたいんですよね。

マンションの竣工検査のあと、僕自身が全室チェックします。ある時、既に完成した後だったんですが、ウォシュレットの緑色の配線がちょっと出ているのが気になってしまって、隠したいと思って見えないように工事をし直して欲しいと言ったことがあります。普通に生活していれば気にならない人が多い部分だし、そこまでする必要ないでしょと何度も言われましたが、自分としてはスキのないマンションをつくりたいと思っているし、自分がお客様だったら気になるんですよ。結局、全ての配線をやり直してもらいましたが(笑)
スキのないマンションをつくって、そういうスキのなさを見てもらいたいんです。社員にも伝えていますし、お客様にも伝えています。売上を上げることも大切ですが、その想いを伝えることを更に大切にしています。

“自分達が欲しいマンションを創る。”という経営理念は、シーラを立ち上げてから掲げている言葉です。
創業1社目のエスグラントの時にも理念はあったのですが、今思えば張りぼてでしたね。売上が下がったり調子が悪くなると、「あれ?おれたちのやってることって間違ってるのか?」とか不安になって、理念を変えちゃったりするんですよね。それじゃあ理念じゃないですよね。

どんな経営者でも迷いながら経営をしていると思うのですが、僕も色々迷いながらも突き進んでいた時期で、シーラとして建てた3棟目のマンションで、購入者の方にマンションの部屋の案内をしていたんです。その人は僕の友人だったんですが、その時に「この部屋を見て、杉本のものづくりがわかったよ。このマンション買って、本当によかったよ」と言われたとき、何故か涙がこみ上げてきてしまって。お客様を案内していてウルッとなったのは初めてでした。 その時、自分はものづくりに対してのこだわりを大切にしていきたいんだと、仕事観が明確になりました。もちろん売上は大切ですが、買ってよかったと言ってもらえるマンションをつくれば、売上は自然とついてくると感じています。

株式会社シーラホールディングス インタビュー風景

理念が浸透しているから成し遂げられる仕事

うちは、すごく理念を大切にしている会社なのですが、そもそも理念は本当に大切なのか?浸透させる必要があるのか?という議論は無駄な気がしています。国で言うと憲法みたいなものなので、それがないと全てが成り立たないんですよね。なので、採用の時にも必ず伝えるし、全社員が言えるようにしています。
理念浸透のために、Talknoteで毎週僕のコラムを配信して読んでもらっています。未読の社員を確認して、なんで読んでくれていないのかも、ヒアリングしています。

理念浸透で最も重要視しているのは、朝礼です。理念や行動指針に関して話す時間を多く取っています。仕事は利益も大切ですが、最後はキレイ事が大切なんですよ。朝礼で週に1度、1時間位使っていますね。
以前は15分の朝礼だったのですが、その時間中に倒れた人が出たんです。で、それをきっかけに「会長の話が長いので、短くして欲しい」という意見が出て。その話を聞いた時、マズイなと感じました。僕の話がつまらないと受け止められていることには危機感を感じましたし、理念浸透の場なのに、それを面倒だと感じながら参加している人がいた事実にも、衝撃を受けました。
対策を考えた結果、逆に時間を伸ばして1時間にしました。ただ、倒れるのは良くないので座って参加してもらうことにして。あとは、毎週5人づつ選ばれた社員が行動指針をテーマにスピーチをするようにしました。毎週投票でグランプリも決めて、金一封を出しています。双方向の場にして、全員が考えて話すようにしています。僕の話も、「週に1度なんだから集中して聞いてくれ」と伝えて良い意味で諦めてもらいました。
ちなみに来週から朝礼の内容もテキストにしてTalknoteで公開することになっています。参加できなかった人にも知ってもらえるように。役員会の議事録も公開していく予定です。

他には、管理職になるタイミングで理念、行動指針のテストをしています。人は強制しても動かないので、腹落ちして納得できるタイミングを狙っています。新人研修や、役職が上がるタイミングといった節目ですね。ちなみに、過去1人だけテストに合格せず昇格が遅れた社員がいます。(笑)

株式会社シーラホールディングス インタビュー風景

あとは、マンションの竣工時に全社員がローテーションで見に行くことにしています。僕らは、設計とデザインに年間120時間以上議論に時間を使っています。どういう部材を使うのかとか、エントランスをどうするかとか。

設計や建築部門としては、予算を守る必要があるわけです。決まった予算の中でやらないと事業は成り立たないから。でも僕はとことんこだわりたいので、毎回、喧嘩になるんですよ。ある時、僕がドアの素材を全てガラス張りにしたいと言ったんです。でも、既に木目のドアの設計にしてあったので、予算が成り立たないんですよ、変更しようとすると。議論が膠着して前に進まなくなってきたと感じて、僕が「やろう、もう決めた。やる」と言ったら、建築部門の部長がキレて「もう、あんたの好きにやればいいよ!」と言ってその場から出ていってしまったんです。でも、1分後に戻ってきて、「大変申し訳ございませんでした。なんとかします。自転車置き場かどこか、見えない所で工夫して費用を捻出します」となったんです。
こういう、侃々諤々のやり取りを毎回しているんですが、こういった議論のプロセスもできる限り社内に公開しています。

毎回こんなやりとりをしていたら、人が辞めてしまうのではないか?とよく聞かれるのですが、ここ2年は設計関係のメンバーは1人も辞めていないんです。最終的にものが生み出された瞬間の感動や、結果としてしっかり売れているという事実が支えになっていると思いますし、お客様からも買ってよかったと言ってもらえることは、やりがいに繋がりますよね。
迷ったらお金をかける。迷ったらやる。理念が浸透していてるからこそ、自分たちの土台となる価値観が共有できているからこそ、できる仕事だなと感じます。

株式会社シーラホールディングス インタビュー風景

気兼ねなくコミュニケーションがとれる

ミーティングの時間に関しても、どう考えているかと聞かれることがあります。ミーティングに対しての考え方は難しいですよね。確かに日々行われているものの中に、本当に必要なものもあれば、必要ないものもある。僕らはどちらかと言うと、ミーティングはやる派です。時間はけっこう多い方だと思う。対面でのコミュニケーションも重要視しているので。ただ、最近では場を持たなくてもTalknoteでのやり取りで済むことも多くなってきています。 連絡事項、各メンバーの目標に対しての進捗、日々の報連相や物件の竣工写真なんかをアップして共有しています。どの投稿も、一部の人間だけでなく、その情報が必要な全員が確認できるところが魅力ですね。

元々は会社でもLINEを使っていたのですが、プライベートと仕事で使い分けたいという問題意識からスタートしました。ビジネス専用で、コミュニケーションもしっかりとれるものを探していました。仕事でLINEを使ってしまうと、夜中に通知がバンバンいくのはストレスですしね。
いいね!ができるとか、コメントできるとか、チャットにはないフィードの便利さを感じています。LINEは、コメントしたら全員に通知が行ってしまうのですが、Talknoteであればコメントは投稿者にだけ届くので煩わしさがかなり軽減されています。実際に、コミュニケーションの量は増えました。投稿も、気兼ねなくできますね。LINEはプライベートでも使っているツールなので、仕事では使いにくいタイミングもありました。毎回プッシュ通知が行ってしまい、どうしても相手に気を使ってしまうことがあったので。

“お客様感謝祭”という、先日行ったイベントで使った、お客様からいただいた声を集めるグループや、“社員旅行達成への道”という達成インセンティブへ向けての進捗を積み重ねるグループなんかが、最近は活発です。 “建築物写真投稿”は、気になった建築物を見たら写真を撮って投稿するグループ。建築部門中心に使っていますが、誰でも投稿できます。他には“物件情報”。何が売れててとか、何が申し込みが入っててとか、物件の販売状況をTalknoteで確認してもらう運用にしています。

結果的に、ミーティングは減ったと思います。Talknoteで伝えればいんじゃない?となる。メールと違ってちゃんと繋がっている感覚を持てるので。 各メンバーのログイン時間をモニタリングできるので、社員の朝のログイン時間を確認してコンディションチェックにも使っています。大体の社員が朝10:00の始業時間までには確認して、自身の業務に必要なグループを見てくれています。

理念の浸透や、日々のコミュニケーションを重視する僕らにとって、非常に活用度の高いツールだなと感じています。

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