「ミッションとして何を掲げればいいのか分からない」
「設定したミッションが形骸化している」
ミッションを設定することは、社会に価値を提供するうえで非常に重要です。ただし、ミッションの意味を正しく把握していないことで、設定したミッションが機能していないケースもあります。本記事では、ビジネスにおけるミッションの意味を説明しつつ、優れたミッションを設定するための方法をご紹介します。
本記事のポイント
- ミッションとして設定すべき内容が分かる
- ミッションを設定する際のポイントが分かる
- 他社のミッションを知ることで、自社の取り組みに活かせる
組織活動においてミッションの効果は、絶大です。ぜひ参考にしてください。
知ってそうで詳しく知らない
ビジネスにおける「ミッション」
ビジネスシーンでよく耳にする「ミッション(mission)」という言葉があります。一般的には、「使命や任務」という意味で用いられ、ビジネスにおいても使い方は大きく変わりません。
- 企業として果たすべき使命
- 社会にどう貢献するか
ただし、企業におけるミッションと、個人におけるミッションでは使い方が少し異なります。そのため、シーンごとに切り替えて意味を把握しておくことが必要です。ここでは、それぞれのケースにおける「ミッション」の捉え方を説明します。
企業におけるミッション
企業におけるミッションとは、組織が社会に対して価値を生み出すためのアクションを指します。企業が事業を通じて「社会にどんな影響をもたらすのか」「社会にどんな価値を残していくか」を言語化したものです。つまり、企業のミッションは、顧客や社会が求めている価値から逆算されるものといえるでしょう。これこそが企業の存在意義といえるのです。
ピーター・ドラッカーの著書においても、組織の存在意義や社会的な立ち位置を示すための手段として「ミッション・ビジョン・バリュー」が語られています。この3要素が機能することで、企業のポジションを示し、向かうべき方向性が明確になるのです。
社会に役立ち、存在意義があるミッションを持つことは、「企業にとって永続的な存続に影響する」といわれています。ミッションを設定する際は、自分本位の目的ではなく、社会の状況から導く必要があることを認識しておくことが大切です。
個人におけるミッション
組織のミッションとは別に、そこで働く個人に対してもミッションを設定するケースも増加傾向です。特に、人材育成に力を入れる企業においては、個人の成長を促すために目標設定とあわせてミッションを活用しています。
組織の発展において、個人を成長させることは欠かせない要素の一つです。そのためには、個人のなりたい姿(ビジョン)を設定する必要があります。その将来像に向けた日々のアクションの中で、組織貢献に求められる役割こそが「個人のミッション」です。
これまでの内容をもとに、企業と個人のミッションは以下のようにまとめられます。
- 企業のミッション:社会への価値創出に求められる役割
- 個人のミッション:組織への貢献に求められる役割
このように、2つのミッションは価値を提供する対象が異なります。その中で共通することは、「どちらも自分本位ではない」ということ。社会への価値提供を目的として企業のミッションが決まり、組織がそのミッションを達成するために、個人としてのミッションが打ち立てられます。
経営者は、社会やマーケットに対してミッションを設計するのに対して、個人は組織に貢献するための自己成長の指標としてミッションを設計することが必要です。その中でも、本記事では「企業におけるミッション」を深掘りして、解説していきます。
優れたミッションの設定とは
ピーター・ドラッカーが提唱する「ミッション・ビジョン・バリュー」では、優れたミッションを設定するために、以下の3つの条件を満たす必要があることを説明しています。
- そのミッションは社会に受け入れられる必然性がある
- 自社の強みを活かすことができるミッションである
- そのミッションは組織に浸透しやすいものである
それぞれについて解説します。
1.そのミッションは社会に受け入れられる必然性がある
組織としてやりたいことをミッションに掲げても、それが社会に受け入れられる内容でなければ意味がありません。そのため、ミッションの設定段階で社会にどんなニーズがあるかを調査することが必要です。ニーズに対して、提供できる価値をミッションとして掲げることで、はじめて社会に受け入れられることが期待できます。
また、組織の存在意義が明確になり、会社としてやるべきことを明確にすることができるでしょう。
2.自社の強みを活かすことができるミッションである
社会のニーズを見つけた後は、具体的にミッションを設定します。その際、ニーズに対して自社が価値を提供できるかという視点を持つことが大切です。社会には、いくつもの課題が潜んでおり、解決方法もさまざまです。なかには、自社のリソースでは解決しきれないことも少なくありません。
そのため、組織の強みを把握したうえで、「ニーズを満たせるアプローチができるか」を判断しましょう。社会のニーズにマッチするような組織の強みがあれば、それは会社として取り組むに値するミッションといえます。
3.そのミッションは組織に浸透しやすいものである
ミッションを達成することは、社会の大きな課題を解消することであり、短期的に実現できるものではありません。そのため、従業員がミッションの達成に向けて進み続けるためのモチベーションや、ミッションが組織に浸透していくことが必要です。
また、ミッションを達成することで「社会にどんなインパクトを与えるのか」「個人にどんな影響をもたらすのか」について、各従業員が理解している必要があります。さらに、組織へミッションを浸透させるためには、組織全体として円滑なコミュニケーションを取れる体制を作っておくことも重要です。
ミッションステートメントを活用してみては?
ミッションステートメントとは、企業のミッションを具体化し、社内外に広く認知させるために明文化することです。具体例として、サイバーエージェントのビジョンとミッションステートメントを見てみましょう。
21世紀を代表する会社を創る
<ミッションステートメント>
- インターネットという成長産業から軸足はぶらさない
- ただし連動する分野にはどんどん参入していく
- オールウェイズFRESH!
- 能力の高さより一緒に働きたい人を集める
- 採用には全力をつくす
- 若手の台頭を喜ぶ組織で、年功序列は禁止
- スケールデメリットは徹底排除
- 迷ったら率直に言う
- 有能な社員が長期にわたって働き続けられる環境を実現
- 法令順守を徹底したモラルの高い会社に
- ライブドア事件を忘れるな
- 挑戦した敗者にはセカンドチャンスを
- クリエイティブで勝負する
- 「チーム・サイバーエージェント」の意識を忘れない
- 世界に通用するインターネットサービスを開発し、グローバル企業になる
パワーフレーズを使うことで、ビジョンとミッションを誰もが分かりやすい形で明文化しています。分かりやすいミッションステートメントを掲げることで、社外へのPR効果も期待できるため、時間をかけてでも設定する価値があるでしょう。
サイバーエージェントの事例は、非常に参考となるため、ミッションステートメントを設定する際はぜひ参考にしてください。
まとめ
ミッションを設定することは、組織と個人のどちらの視点からも有効です。特に、会社が競合優位性を保つうえで、ミッションを適切に設定することは欠かせません。これからミッションを立てる場合は、社会のニーズを踏まえたうえで考えるようにしてください。そのうえで自社の強みを発揮できる分野を模索してみましょう。